ぼやき

さるかに合戦のフェイタリティはどう考えてもおかしい

numa

「えへへ、もうけたわい」そう言うと老爺はおばあさんを連れて市役所へ出生届を出しに行きました。

小さい頃に読んだよね。さるかに合戦。

猿の投機話に乗せられた蟹が柿の種と引き換えに自分のおにぎりを手放してしまうところから物語は始まります。ちなみに蟹がどうやっておにぎりを手に入れたのかについては一切触れられていないので、おむすびころりんメソッドで調達したということにしておきましょう。

蟹は猿の言うがままに柿の種を地面に植えてみたところ、猿の言う通り見事な柿の木が生えました。秋になってたわわに実った柿を食さんと意気込む蟹ですが、この蟹なんと木が登れません。磯でも陸でも自在に歩き回る蟹ですが、どうやら木だけはだめみたいです。

そこに現れたのがツーブロをテカテカに固め、セカンドバッグを小脇に抱えた冒頭の猿です。

「お世話になってます!ね!柿実ったでしょう!いやーあの時の蟹さんの判断、マジでナイスでした!またね、機会があったら面白いこと一緒にやりましょうよ!」

「いやそれが悪いんですが猿さん、ぼかぁこの木登れないんですよ。一つあの柿の実を取ってはくれませんかね?」

猿は口を半開きにしたまま木を見上げて「あーまあできますよ!ちょっとマージンかかっちゃうんですけどアグリーいただけますか?」

「あ、あぐりー?ですか?まあやってもらえるんですね?よろしくお願いします」

猿は節々の枝で逆上がりをしながら一番赤く実った柿の実のある枝に登りました。

「そんじゃあ最初にコミットしたマージンいただきますね!」

そういうと猿は熟した柿の実を次々と口へ放り込んでいきます。木に実った赤い柿はどんどんなくなっていきます。

「猿さん、ちょっと聞いてた話と違いますよ。僕の分がなくなっちゃうじゃないか」

「え?さっきマージンにアグリー貰ってるんですけど?これ蟹さんのコミットメントっすよ?」

「そんなの知らないよ、柿が食べられるって聞いたからぼかぁおにぎりを君に渡したんだよ」

「このアウトプットで文句あるんすか?」

「あるよ、これじゃあ僕に柿が来ないじゃないか」

猿は軽く舌打ちすると「これアウトプットっす」と言って青い柿を蟹に向かって落としました。

柿はお父さん蟹にヒット、そのままお父さん蟹は死んでしまったので猿は全部なかったことにしてトンズラします。

子ども蟹の復讐劇が始まります。

で、ここからが問題。子蟹はリベンジを果たすために栗、蜂、臼に協力を依頼します。

いや待てどんな布陣だよ。子蟹の計画性どうなってんだよ。目的から手段を選べよ。道すがらで軍拡した桃太郎ですらもうちょっとまともな布陣してるぞ。それに加えてお前はいくらでも準備期間があるんだろうが。まあ話を進めてみよう。

場面は冬になっています。一同は猿の家に潜伏して猿の帰りを待ちます。出がけに襲えばいいのになぜか家の中で始末しようとしているあたり、この世界には治安機構ないしはそれに準ずる組織があるみたいです。

栗は火鉢、蜂はカメに、臼は天井の梁に隠れて息を潜めます。一仕事終えた猿が圧倒的成長して帰ってくると火鉢に火をかけます。熱された栗が爆ぜて猿に突撃します。火傷した猿がカメの水で患部を冷やそうとすると蜂が飛び出してきて攻撃します。慌てて家を飛び出そうとすると天井から臼が落ちてきて猿を潰します。

なんだその位置エネルギーに依存した戦術は。そもそも栗に至っては自爆攻撃じゃねえか。復讐戦で犠牲者増やしてどうするんだ忠臣蔵のつもりかお前は。それでいて蟹自身は攻撃に参加しねえのかよ。お前の物語だぞ。

そしてフィニッシャーが臼でいいのかよ。爆発→刺突→圧殺ってどんどん攻撃が地味になってるじゃねえかよ。モータルコンバット見習えよ。最後は背骨抜きとか串刺し爆散とかド派手にキメるもんじゃねえのかよ。

ムカついてきたから今日はここまで

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「えへへ、もうけたわい」そう言うと老爺はおばあさんを連れて市役所へ出生届を出しに行きました。

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