企画の趣旨
2018年から2019年にかけてコンビニからはエロ本が消滅しました。
僕たちの少年時代からのヒーローだったエロ本は本屋の片隅や通販に追いやられてしまい、気軽に手に取ることができなくなってしまいました。
今思えばエッチなイラスト満載のコミックが「ちゃお」とか「なかよし」の隣にあった時代の方が異常な気しまもすが、
というわけで本日は丸一日かけてコンビニで手に入る漫画のコラージュでエロ漫画を作っていこうと思います。
コンビニで手に入る漫画といえば王道の週刊少年ジャンプです。
ジャンプは日本漫画界の覇者。最高の漫画家による最高の素材がひしめき合っている、いわばハイクオリティイラストの殿堂です。
という確信を胸にエロ漫画を作っていきましょう。
使用するのは2022年30週のジャンプです。
参加者
「ジャンプでエロ漫画作ろうぜ」と言ったら集まってきた連中です。
ロバート
大手企業勤務兼実業家という二足のわらじを履きこなすハイスペ。
洗濯機が壊れて二日目のパンツを履いてい。
エロスにイノベーションを
numa
失業し、ハローワークで面談中にこの企画を思いついた。
最近泣いたゲームはCivilization 5。
デマとエセ科学で一儲けしたい
天功
呼んだら来てしまった女。
本人たっての希望でこの画像がアイコンになった。
おでこの面積は自己肯定感に比例する
エッチな漫画の見本を購読
まずは本物のエッチな漫画を読んでバイブスを高めます。
生まれて初めてコミック快楽天が経費で落ちました。
おい待てコラ
読みたいエッチ漫画のプレゼン
ロバートの脚本
これは僕の実体験に基づくエロ漫画構想です
世は空前のサウナブーム！
サウナストーンに水をかけてアッツアツの水蒸気を発生させるロウリュサービスを提供しているサウナには、その水蒸気をあおいで客に吹きつけるアウフギーサー（熱波師）がいます。
最近は可愛いアウフギーサーがいるらしいのですが、そんなアウフギーサーが来た時の話です。
↓可愛いアウフギーサーの例
#空庭温泉 にて、嬉しそうな渡邊がこちらです。（めちゃくちゃ楽しかった。） pic.twitter.com/0JGvJEg3g0 — 渡邊りつ🦉@モデルアウフギーサー (@rtrtritsu_111) July 2, 2022
※アウフギーサーは至って健全な、健康に資する職業です。
こんなアウフギーサーと二人きりになりたい
のっけから何を言っているかわかりませんが、とりあえず話を聞いてみましょう。
童貞大学生の「タクミ」がサウナで整っていると美人アウフギーサーが登場します。
彼女の巧みな熱波に耐えられず一人、また一人と退場していく男たち。気づけばサウナ内はタクミと彼女の二人だけに……
彼女の熱波はだんだんエッチなエチエチ熱波に変貌していきます。メロメロになったまま外気浴していると、タクミはゆっくりと妄想の世界に入っていきます。
妄想の中でアウフギーサーとタクミの熱い逢瀬が始まります。
ここから究極の"ととのい"に向けて物語は一気に加速します
ととのい
妄想のプレイで究極の"ととのい"を迎えたタクミは、外気の中で昇天します。
童貞の夢オチ？
モデルアウフギーサーにイかされるのは童貞じゃなくても夢だろ
タイトルは「ヒート♡うぇ〜ぶ」です
numaの脚本
これも僕の実体験に基づく妄想です
主人公の「ケンヂ」は失業中の元・サラリーマン。今日もハローワークで仕事を探します。
職業相談ブースでケンヂが何気なく「夢みたいな職業があれば…」と口走ります。
するとタイピングしていた窓口のお姉さんの手が「ピタッ」と止まります。
お姉さんは席から立ち上がると窓口後方のドアを開けます。
そう、「夢みたいな職業」がキーワードだったのです
カスの「チョコレート・アンダーグラウンド」？
「こちらへ……」
そう言われたケンヂがドアを通って薄暗い部屋へ入ると、お姉さんから説明を受けます。
お姉さん「裏職業案内を開始しますが、そのためには職業訓練が必要です」
ケンヂ「職業訓練？」
お姉さん「そう、職業クン練……」
そう言ってお姉さんはドアを閉めるとブラウスのボタンを外します。
ケンヂ「仕事のためだ。やれやれ」
裏ハローワークは「職アン」というわけです
やかましいわ
タイトルは「イブニング・ワーク」です
天功の脚本
主人公は退勤後週３くらいで歌舞伎町にある超怪しいゲーセンに通う疲れ切った27歳のOLです。
主人公の解像度が異様に高い
ゲーセンの店員さん（19歳の大学生バイト）は常連のお姉さんがいるなあ〜 ゲーム好きなんだな〜と思っています。
ところがどっこい！
このお姉さん、ゲームをしているわけではなかったのです！
カツアゲ？
なんと彼女はゲーセンの元締めをしているヤクザの愛人をしていました。
轟々と鳴り響くゲーセンの騒音にまぎれ、バイト君が佇むカウンターの裏側、壁一枚挟んだ反対側でヤクザに乱暴にされる快感の虜になっていたのです。
あ〜〜〜〜！壁の断面図で立ちバックになってるやつ〜〜〜！！！
彼女はとっても大事にしてくれる彼氏と半同棲状態にあります
幸せなはずなのに粗末にされると濡れるタイプだ
爆音でゲーム機が鳴っているので激しいプレイなのに効果音も声もないんですね
作中の会話はヤクザの「今日は遅かったな」だけでいいね
この作品は「脚」にフォーカスした作品です。地下にあるゲーセンに向かって階段を降りていく彼女の脚。行為中に乱暴に脱ぎ捨てられた片方のパンプス。彼が待つ家に帰ったときにキッチリ揃えられている靴。そして玄関の段差を登ることで日常に帰っていくという彼女の誰にも知られてはいけない一日の高低差を「脚」で表現するんです
「パラサイト」的な表現技法をエロ漫画に求めるな
とんでもねえ奴を連れてきてしまった
方針会議
大手企業に勤めるロバート曰く脚本を選定するにあたっては明確なクライテリア（判断基準）が必要とのことなので、評価項目を設定します。
陰湿な家具のことかと思った
最終的にエッチさを最重視しながらも、他の要素もしっかりと加味して評価することにしました。
このクライテリアに基づいて激論が交わされます。
まず私のサウナ案ですが、汁が多いということが挙げられます
サウナと熱波で飛び散る汗、そして熱波をかけるアウフギーサーと客のS＆Mの主従関係がエッチです
本来は熱波を浴びる客側が主であるのに……という主従関係の倒錯も脳の奥がビビッとくるポイントですね
非日常性ですが、サウナという密室でアウフギーサーと二人になるというシチュエーションが燃えます
サウナは誰しも経験したことがあるでしょう
サウナで高まった体温と興奮には共感の嵐が止みません
あとオロポが美味い
※オロポ＝オロナインとポカリを混ぜたサウナー御用達飲料
こいつあのグロッキー状態でいつも興奮してんのか
そして何より、サウナの熱波とバトル漫画の多いジャンプは非常に親和性が高いのです！
急にメタくなったな
ハロワ案ですが、公務員×エッチは最もギャップの落差が大きい組み合わせです
そのギャップをめぐって訴訟も起きています
非日常性はなんといっても「失業」という状態です
ちなみに僕は非日常の真っ只中にいます
こんなとこで熱弁してないで働け
ハローワークに行ったことのある人はハロワ全体に満ちている漠然とした「焦り、不安、葛藤、そして微かな期待」に共感せざるを得ません
その期待の部分を最大限にクローズアップしたのが僕のシナリオです
失業経験者というペルソナが尖りすぎ
まあジャンプっぽさはお堅い場所なので学園モノのコマとか使えるんじゃないですか？
まず基本設定である浮気の背徳感からエッチさは始まります
あえて性的な描写を減らし、脚や靴にフォーカスすることで読者の脳内補完によるエッチのブーストを狙います
口元の描写がカギになりそう
歓楽街の地下ゲーセンというロケーションを選んだのは、誰しもが想像できる少し危険そうな非日常性を楽しんでもらいたいからです
歌舞伎町の時点で「性」が澱んでいるからね
意外と人って「粗末にされたい」とか、「悪いことをしたい」という欲望を抱えていると思うんです
幸せなはずなのに満たされない気持ちをこの脚本にぶつけました
どしたん？話聞こうか？
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議論はその後も白熱し、サウナ案とゲーセン案で一触即発のところまで紛糾しましたが、「ゲーセン案は表情や描写の機微が要求されすぎる」という理由で大味な表現が多少許容されるサウナ案に決定しました。
製本作業
レギュレーション
- 絵柄はジャンプの切り抜きで表現すること
- コマの使い回しOK
- セリフは自分たちで記述する
まずは下準備です。
使えそうなコマを丁寧に切り抜き、何回も使いたいコマはコピーをとっていきます。
学生時代に論文をコピーしたとき以来だ
ジャンプって意外とスケベなんだね
だんだん素材が積み上がってきました。
生まれて初めてジャンプの全コマに目を通した
ここからは怒涛の製本作業です
切り抜いたコマを丁寧にコラージュし、ストーリーを成立させていきます。
使えそうで使えないページが妙に多い
できたっ！！！
えっ……じゃあ
有事の際に使おうと思ってたTo Loveる全巻は使わずに済んだってこと？？？？？？
朗読会
僕たちが全力で作った二次創作エッチ漫画が完成しました。
それでは読んでいきましょう。あれだけ手間暇をかけたのです。ドチャクソエッチなはずです。
日本は空前のサウナブームに沸いています。熱気の中、男たちが「ととのい」を目指して歯を食いしばっております。
ここに熱波師、アウフギーサーが登場します。
その可愛さに一同はメロメロになっています。そしていよいよ熱波です。
会心の一撃
男たちを熱波が襲います
波ッッ！！
熱波師の美貌と熱波の激しさにタクミの意識が溶けていきます。
突然交わされる熱い接吻。タクミは戸惑います。
彼女曰く「みんなが熱波に耐えかねて去る中、最後まで残ったのがタクミだった」と言います。
意識を取り戻したタクミは下半身に何かの感触を覚えますが、彼は童貞。
次の瞬間
あまりにも早い彼の昇天は地を砕き空を貫きます
その衝撃波はキノコ雲を起こして世界を破滅へと導きました
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そう、すべてはタクミの見た夢でした。
顔を洗って我に帰ったタクミは完全に「ととのったのでした」
めでたしめでたし
感想戦
「最終兵器彼女」みたいになった
勢いで押し切るしかない場面が多すぎる
作業中は異常に汎用性の高いテロップとかセリフがいっぱいあって切り抜く手が止まらなくなりました
それぞれの作家が作り込んでいる世界観を全力で冒している感があって途中の罪悪感がすごかった
こっちに1mmも正義がないからね
改めて「上手い絵」って本当に多様なんですね
作品(?)に統一感を持たせようとすると使える作品の絵はかなり限定されてきました
あと脚本を議論しているときと作業中の温度差ね
「エモい〜〜〜〜〜〜」とか言ってたのが完全に消し飛んで「使えるコマ探せぇぇえええ！！！」でしたから
結論
エロ漫画ってすげ〜〜〜〜〜〜！！！！！！！
以下は今回使用した漫画の１巻です。本当にすみませんでした。
シキガミ（雨宮ケント）
読み切りですが絵柄も展開もとても好みです
